今月のことば(7月)

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    先月に引き続き「真剣に向き合う」─「自分のこととして考える」ということについてです。

    「自分のこととして考える」別の言い方をすれば、「自分自身を学ぶ」とも言えるかもしれません。
    わかったような、わからないような感じを受けるかもしれませんので、一つの歌を紹介します。

    「今までは 人のことだと 思ふたに 俺が死ぬとは こいつはたまらん」

    これは、江戸時代の歌人(狂歌師)・大田 南畝(おおたなんぽ 1749-1823)の辞世の句であると言われています。
    流石は歌人、ユニークで面白おかしく感じてしまいますが、「自分のこととして考える」ということがここには
    ストレートに読み込まれているのはお分かりでしょうか。

    「いのちあるもの、かならず死を迎える」と言われると、小さな子でも知っています。
    知っているから馬鹿馬鹿しいと受け止める人が多いのではないかと思います。
    上の歌で言うなれば「人のことだと思ふ」ていたということです。しかし「俺が死ぬ」…この私もいずれかならず死ぬ
    いのちを生きている、という時に同じような感じで馬鹿馬鹿しいと笑っていられるでしょうか。

    「こいつはたまらん」

    という、一見お茶目にも聞こえるこの7文字も、奥の深い言葉に聞こえて来ませんか?

    補足しておかなければなりませんが、これは
    「いつ来るかわからない自分の死にびくびく怯えながら生きて行けというのか?」ではありません。
    仏教は生・老・病・死の4つを四苦といい、私もあなたも間違いなく背負っていかなければならない現実の姿として説きます。
    その現実から目を背けて、逃げながら生きるのではなく、しっかりと向き合うことが大切だということです。
    日々テレビの中でアンチエイジングや健康サプリメントといった「若さ」や「健康」に関する商品が売られているということは
    それだけ「老」・「病」への不安の大きさの裏返しなのでしょう。
    もちろん可能な限り若々しく健康で生きていきたいと願い、そうして生きていくのは悪いことではありませんが、
    生・老・病・死の現実としっかり向かい合う、というところが抜け落ちてほしくないと感じます。

    (部門員/西蓮寺 僧侶)

    ※掲載が遅くなりましたことをお詫びいたします。

    6月のことば

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      仏教は、話を聞いてみると当たり前のことを言ってるだけ、ということもあります。
      しかし、深く考えていくととても奥が深く難しいものになります。
      意味や内容が難しいのではありません。
      内容は簡単でも、それと真剣に向き合うとき、奥が深くなり、単純ではなくなるのです。
      真剣に向き合うということは、一般論や常識ではなく、「自分のこととして考える」ということです。
      もちろん、専門用語や概念の意味を、知識として蓄えることも大切です。
      しかし、場合によっては知識として知っていることによって「自分はもうわかっている」という気持ちがはたらき、驕り高ぶる心が出てくることもあります。

      日本でも有名な中国の詩人・白楽天(はくらくてん)の話があります。
      当時、白楽天が州の長官の仕事をしている時の話です。
      白楽天が赴任している地域に、鳥巣禅師というお坊さんがいました。
      「鳥巣禅師」とは通称で、木の上に座禅をしているということで有名になったお坊さんです。
      その鳥巣禅師のもとを尋ねた白楽天が、禅師に「仏教とは」という質問をします。
      それに対して鳥巣禅師が答えたのは「七仏通戒偈(しちぶつつうかいげ)」として有名な言葉でした。
      簡単に言うと「悪いことをするな、良いことをしなさい。そして心を清らかにしなさい」ということです。
      その答えを聞いた白楽天は「そんなことなら3歳の子どもでも知っている」と笑い飛ばしました。
      しかし、鳥巣禅師は白楽天の言葉に
      「3歳の子どもでも知っていることだが、80歳の老人にも行なうのは難しいことです」
      と諭したと言います。

      真剣に向き合う、自分のこととして考えるというのは、こういうことを言うのでしょう。
      悪いことをするな、良いことをしなさいというのは、七仏通戒偈の言葉ですが、
      たとえ仏教を知らなくても「そんなこと当たり前だ、誰でも知っている」というものです。
      しかし、自分のこととして考えた時、誰でも知ってるあたり前のような常識的なことは、
      奥の深い「問い」に変わります。

      悪いことをするな、というが、私は悪いことをせずに生きることができているか。
      良いことをせよ、というが、私はどれほど良いことができているだろうか。

      警察に捕まるようなことはしてないから「悪いことはしていない」でしょうか?
      あの時○○したから「良いことをしている」でしょうか?
      真剣に向き合うほど、そんなに簡単に判断できないのではないでしょうか。

      仏教を学ぶということは、単に専門用語の知識を増やす(答えを知る)だけではなく、
      こういう問いを持つということ、自分のこととして真剣に向き合う姿勢を学ぶということでもあるのでしょう。

      今年も連続研修会の受講生募集がはじまりました。
      もしも、自分の中に仏教ってなんだろう?という問いが少しでもあれば是非受講してみてください。

      (部門員 西蓮寺/僧侶)

      今月のことば(5月)

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        西嘉穂組巡番報恩講も無事役目を果たし終える事ができ、教伝寺住職坊守門徒一同安堵いたしました。
        これも十五ヶ寺関係者の皆様方のご協力のお陰でございます。有難うございました。
        大勢の門徒さん、普段顔見知りでない門徒さん、少しお寺に足の遠のいている人も、この時ばかりは本当に一生懸命お手伝いしていただきました。いつもこのように大勢の人が集ってくださったらいいなと思っています。
        一週間ほどして慰労会に参加し、盛況に終了いたしました。

        平成23年は親鸞聖人750回大遠忌の年にあたり、本山はじめ全国の浄土真宗のお寺で一大事業の年であり、教伝寺が巡番報恩講と重なったことは大変な年でありました。
        大遠忌の団体参拝にも参加、御影堂の中は大変美しい荘厳で感動いたしました。
        このようにお寺の務めをするようになったのは、教伝寺の仏壮(仏教壮年会)に入り連研(連続研修会)講習を受け入門章を受けたからです。入門式では「私はもう浄土真宗のお寺にお参りしているのに」と思っていましたが、「これからが始まりですよ」といわれ、納得いたしました。中央教習にも行き、門徒推進員・連研委員として頑張っています。
        お寺の行事の多さには大変ですが、教伝寺・西嘉穂組の役目を果たして行きたいと思っています。
        これからも宜しくお願い申し上げます。

        (部門員 教伝寺/門徒)

        今月のことば(4月)

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          今月のことば「世の人常にいはく」

           以前のある連続研修会でのこと。
           ある方が御講師のおっしゃった「悪人正機(あくにんしょうき)」という言葉を聞いてこうおっしゃいました。
           「親鸞聖人という方はとんでもないことを言う人なんですね。悪人こそが救われるなんて言うなんて…」
           この言葉に対して、他の法中さんが色々と説明されていたようですが、本人は納得したような、納得してないような…。

           でも、難しいですよね、悪人正機。
           もとは『歎異抄(たんにしょう)』第三条の御文を根拠とする教えであります。
           本文は以下。

           善人なほもて往生をとぐ、いはんや悪人をや。
           しかるを世のひとつねにいはく、「悪人なほ往生す、いかにいはんや善人をや」。
           この条一旦そのいはれあるににたれども、本願他力の意趣にそむけり。
                 (歎異抄三条より抜粋)
          【現代語訳】
           善人ですら往生をとげるのです。
           まして悪人が往生をとげられないことがありましょうか。
           しかるに世間の人は常に、悪人ですら往生するのだから、まして善人が往生しないことがあろうか、といっています。    
           この考え方は、一応もっともなようですが、阿弥陀仏の本願他力の救いのみこころには背いています。

           これだけ見てもイマイチよくわかりせん。
           以下、自分の中で整理をする為に空想上の会話にしてみました

          (クリックして続きを読んで下さい)


          今月のことば(3月)

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            三尾慶信さんという方の出版されている詩集があります。
            その中でも特に『老眼』という詩が好きです。

            『老眼』

            「若い頃に見えて
             年を取ると
             見えなくなるものがある

             若い頃に見えなくて
             年を取ると
             見えてくるものがある」


            一般に老眼というと、この詩に書かれてある前者の方を指します。
            正式名称は「老視」。目の水晶体という部分の弾力が加齢と共に衰え、
            調整する力が失われていき、近くのものに焦点を合わせにくくなる現象です。
            近くのものが見えにくくなり、本を読むといった日常的な行為が不便になっていくので、
            老眼を意識するようになると、いよいよ年齢を感じざるを得ない方が多いようです。


            西嘉穂組では毎年「連研」(連続研修会)という、浄土真宗の基本を学ぶ研修会を行なっています。
            今年度も昨年7月に開始し、今年2月19日の「入門式」(※)を終えられた受講者の方々が、大勢いました。
            規定時間内の講座数なので、毎年「(仏教のことは)まだまだ分からないことがたくさんある」という意見が多い中で、「受講してみて、やはりもっと早く、若いうちから仏教をしっかり学んでおくべきだと思った」という声も聞かれます。


            確かにそうです。若いうちから仏教に親しみ、その教えを人生の中で味わっていただきたい、という思いを私たち僧侶も持っていますし、そういうご縁作りもこれから大切になるだろうと思っています。


            一方で、上の詩のように「年を取ってきた」から仏の教えがスッと染み渡るようになったのかもという思いもあります。
            若い頃、バリバリ働き盛りの頃は家族と仕事で精一杯、お寺や仏教と言われても、頭の中には全く無く、暗くて辛気臭くて寄り付きたくなくて、お経は何言ってるかわからないから胡散臭くて…となってしまい、若い頃には見えなかったかもしれません。
            年を取り、失敗や挫折といった経験も重ね、大切な人との別れも経験し…そういった人生の歩みが、
            「若いころに見えなかったもの」を「見えるようになった自分」へと育てて行ってくれたのかもしれません。

            ですから、

            「仏教に出遇ったのが遅かったのを後悔するのではなく、出遇えた今を大切にして下さい。」

            とお伝えするようにしています。
            出遇えた今、そしてこれからの人生の歩みを仏の教えを心の拠り所に歩んでいただきたい、
            という意味を込めて(※)「入門式」というのが連続研修会の「最後の回」になっています。
            (それまでは入門を認められない、という敷居のような意味ではありません)


            もちろん連研は若い方の参加も大歓迎ですよ!
            (ちなみに西嘉穂組の連研受講者で、歴代最年少はなんと9歳!)


            (参考文献)
            三尾慶信『よりみち日和』(幻冬舎ルネッサンス)
            http://www.gentosha-r.com/products/9784779004629/

            (部門員 西蓮寺/僧侶)


            ※記事訂正について
            今月のことば(2月)において、西嘉穂組からの団体参拝者数を「計450名以上の方が」と表記しておりましたが、正しくは「448名の方が」でした。訂正のお知らせをさせて頂きます。



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